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日別アーカイブ: 2025年10月15日

ドイ産業のよもやま話~part21~

皆さんこんにちは!

 

さて今回は

~コンクリート二次製品運搬業の“現場力”~

 

コンクリート二次製品――U字溝、L型擁壁、ボックスカルバート、ヒューム管、側溝蓋、縁石、擁壁ブロック、プレキャスト床版など。街中のあらゆるインフラに使われ、工期短縮・品質安定・省力化に大きく寄与している製品群です。
しかし、これらが“工場から現場へ”安全に届くまでの道のりには、想像以上に多くの高度な段取りと技術が潜んでいます。重量物でありながら、角欠け・クラック・スリ傷を嫌う繊細な荷。しかも現場工程は分単位で変化し、交通規制・仮設ヤード・クレーン手配・施工班の動きとピタリと噛み合わねばなりません。
本稿では、コンクリート二次製品運搬業の“現場力”を、計画・積載・輸送・荷降ろし・安全・品質・環境の視点から立体的に描きます。️


1️⃣ 仕事の起点は“工程表”と“搬入計画”から ️

二次製品の運搬は、依頼を受けた瞬間から勝負が始まります。

  • 品目・寸法・重量(例:ボックスカルバート 2.0×2.0×2.0m、3.8t/基)

  • 数量・ロット分け(1日何基、どの順番で設置か)

  • 現場条件(進入経路、車両制限、敷き鉄板の有無、クレーン容量、玉掛け器具)

  • 時間帯制約(近隣学校の登下校、渋滞ピーク、騒音規制、夜間規制)

これらを読み解き、車種選定(セルフローダー/トレーラ/単車増トン)と便割りを組むのが運搬会社の腕の見せ所。工場の積込能力と現場の荷受けスピードの“差”を、待機場の確保や中継ヤードで吸収する計画力が、のちの混乱を防ぎます。


2️⃣ 積載の基本は「安定・固定・保護」――“三位一体”の美学

安定
重心が高いL型擁壁や幅の狭いU字溝は、走行中の横力で倒れ込みやすい。積載面の摩擦係数、あおり・背板の強度、ラッシングポイントの位置を把握し、木製台木(硬木)やラバーマットで面圧を分散します。

固定
ベルトやワイヤは**締付力(プリテンション)**が命。EN12195-1の理屈に沿って、対向締め(ダイレクトラッシング)と上締め(フリクションラッシング)を使い分けます。角当て(コーナープロテクタ)でベルトの切断を防止し、荷崩れ方向の自由度をゼロに。チェーンバインダを用いる重量物は、等級表示と張力管理を徹底します。

保護
コンクリートは硬いが、角は脆い。カドのチッピングはクレームの元。積込・荷降ろしではゴムシート・フェルト・発泡材で接触面を養生。フォーク差し時も爪カバーや角度付き治具で点荷重を減らす。️


3️⃣ 車両・艤装・道具――“現場向け”は細部で決まる

  • トレーラ:超重量・長尺のカルバートや長尺側溝に有効。エアサスで振動を低減し、低床タイプで高さ制限をクリア。

  • セルフローダー:荷台ウインチ・あゆみ板で自力荷役も可能。狭隘地での小回りが効く。

  • 単車(増トン):都市部・橋梁下搬入・高さ制限対応に強い。

艤装ではスタンション(支柱)の位置調整、追加ラッシングポイントの設置、作業灯・後退灯の増設、無線機とドラレコの連動など、“夜間・雨天・狭小”の当たり前に耐える仕様が肝。️


4️⃣ 現場進入は“秒単位のオペ”――誘導・合図・合意

現場に着いた瞬間、誘導員との握手でリズムが決まります。

  • ハンドサインの事前共有(吊上げ・停止・緊急停止)

  • クレーン玉掛けの役割分担(だれが合図者か、見通しは確保できるか)

  • クレーン定格の確認(作業半径・フック高さ・地耐力)

吊り治具は2点・4点を使い分け、重心マーク吊り穴位置を現場と共有。荷を振らせないタグラインを用意し、風速計で作業中断基準(例:10m/s以上)を明示。
一回の安全は“準備の質”で決まる。️


5️⃣ 品質は“運んだ後”で評価される――外観・寸法・証跡

二次製品は外観品質が命。荷卸後すぐにチッピング・クラック・スリ傷の有無を写真+チェックリストで相互確認。出荷時の受入検査票(メーカー)と、運搬側の積込写真・ラッシング写真、現場の荷卸写真を一連で紐付け、万一の責任分界を明確にします。
温度ひび割れが疑われる場合は音診・マーカーで進展を追跡。運搬起因の破損をゼロに近づける“データ文化”が信頼を育てます。️


6️⃣ 安全の“型”を持つ――KYT・TBM・ヒヤリハット

  • KYT(危険予知訓練):その日の荷姿・天候・路面で“想像力”を合わせる。

  • TBM(ツールボックスミーティング):玉掛け・合図者の指名、退避場所、荷の回転方向を15分で詰める。

  • ヒヤリハット収集:角当ての滑落、ベルト緩み、クレーン旋回死角、誘導員の交代タイミングなど、起こる前提で事例を蓄積。

「無事故」は運ではない。習慣と記録の成果です。


7️⃣ 渋滞も“工程のうち”――ルート最適化と発着同調 ️

  • 時間帯回避:通勤ピークやスクールゾーンの迂回を事前に設計。

  • 高度計画:高さ制限(3.8m等)、重量制限(総重量・軸重)をGISでチェック。

  • 動的リスケ:現場の遅延を無線・チャットで即時共有し、次便の積込時刻をスライド

“待ちゼロ”は善だが、無理は禁物。休憩・健康・労働時間管理(改善基準告示)を守り、安全最優先を貫くことが、結局“工期短縮”に直結します。


8️⃣ 環境配慮は“静かな競争力”――燃費・騒音・資材 ♻️

  • アイドリングストップ定速走行で燃費改善。

  • 低騒音養生(ゴムマット・緩衝材)で近隣配慮。

  • 再生養生材の活用と角当てのリユース

  • 車両更新時はポスト新長期規制適合車/ハイブリッド・EV補助軸の検討。

環境配慮は“コスト増”ではなく、入札評価・地域信頼・人材採用の強力な武器です。


9️⃣ 人材こそ最大の資産――“強いドライバー”を育てる ‍♀️

  • 重量物講習/玉掛け/小型移動式クレーンの取得支援。

  • 同乗教育で積載バランス・ラッシングの“感覚”を継承。

  • 可視化マニュアル(写真・動画)とチェックシートで標準化。

  • 評価は安全と品質重視――“速さ”だけを称えない文化。

誇りを持てる現場は、辞めにくい。それが安定品質をつくります。


まとめ:重くて繊細な荷を、誠実に運ぶ。

コンクリート二次製品運搬業は、単なる“運送”ではありません。
計画で勝負を決め、積載で品質を守り、輸送で安全をつなぎ、荷卸で工程に貢献する。
一便一便の誠実さが、インフラの完成度を底上げします。
“見えないところ”で街を支える、この仕事に胸を張っていきましょう。️

 

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