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月別アーカイブ: 2025年10月

ドイ産業のよもやま話~part22~

皆さんこんにちは!

 

さて今回は

~「段取り」と「可視化」~

 

今回は、DX(デジタル変革)と現場知をどう融合させ、遅れない・壊さない・待たせない搬送体制をつくるかに焦点を当てます。語感だけのDXではなく、即効性のある小さな改善を積み上げるアプローチです。


1️⃣ 可視化の第一歩は「写真と時刻」――証跡が共通言語になる ⏰

  • 積込時:全景・側面・後部、ラッシング・角当て・台木位置を撮影。

  • 到着時:車両位置、仮設養生、クレーン配置。

  • 荷卸後:外観の四隅・天面、設置位置の確認。

写真に時刻・位置情報を自動刻印するだけで、責任分界が明確化。現場・工場・運搬・元請が同じ地図を見る文化の起点になります。クラウド共有で即日レビューできれば、翌日の改善にも直結。️☁️


2️⃣ 配車ボードは“生き物”――動的リスケとバッファ設計 ️

ホワイトボードに見える配車も、実態は分単位で変わる“生き物”。

  • 基準ダイヤ:各便に10〜20分のバッファを標準装備。

  • イベント表:通学時間、交通規制、現場のコンクリ打設や吊上げタイムテーブルを一枚に重ねる

  • 色分け:トレーラ/単車/セルフ、夜間/日中、狭隘/余裕を色で管理。

さらに、チャットops(現場・配車・ドライバーのグループ)で「10時便→10:30へ」「クレーン終了13:00」のプッシュ通知を徹底。“電話の取りこぼし”ゼロが混乱を防ぎます。


3️⃣ ミスは“前日”に潰す――3点セットの前日レビュー ✅

  1. 荷姿図(外形・重量・重心・吊点)

  2. 搬入経路図(高さ制限・狭幅員・退避地・バックゾーン)

  3. 現場配置図(クレーン作業半径・玉掛け者・合図者・退避場所)

これを前日17時までに三者で確認。疑問点は写真・動画で解決。現場が「図面はあるが、置場が変わった」といった“あるある”は、このレビューで露出します。️


4️⃣ 荷崩れゼロの“定石”――簡易力学×チェックリスト

  • 上締めだけでは動く:摩擦係数0.4の荷台で、横加速度0.5g(急ハンドル想定)を超えると滑り始める。対向締めを併用し、転倒モーメントを抑える。

  • 角当ては“保護+摩擦増”:樹脂コーナー+ゴムインナーで剪断力に強い面を作る。

  • 台木は“二本で一組”:同一高さ・同一材質。高さ差は割れを呼ぶ。

  • 点検トリガー:出発10分後/高速進入前/雨天の後は増し締め

これをA4一枚に落とし、車内のサンバイザー裏に常備。迷いをなくす道具が品質を安定させます。


5️⃣ 「狭隘×重量」の現場攻略――ミリ単位の進入術 ️

  • 曲がり角内輪差シミュレーションをタブレットで表示。誘導員と同じ画面を見る。

  • 段差越え:仮設鉄板+砂袋で“なだらかなスロープ”を仮設し、荷の傾斜角を抑える。

  • 電線・枝:事前の高さ測量と電力会社への相談。現地での現物合わせは禁止。

  • 夜間照明:可搬式投光器+車載作業灯で影を消す。陰はミスの温床。


6️⃣ 玉掛け・治具の“地味な進化”が効く

  • 自在フック+回転スイベルで“ねじれ”を逃す。

  • 薄肉製品には広幅スリングで面圧を下げる。

  • タグライン反射材入りを標準に。夜間の視認性が段違い。

  • 識別札(荷重・長さ・点検日)で“使っていい道具か”瞬時に判別。

治具の質は、荷の揺れ=時間ロス=危険を確実に減らします。⏳️


7️⃣ 品質クレーム“未然防止”の方程式 ️

外観品質 =(養生の質 × ラッシングの質 × 距離補正)−(積替回数 × 係数)
積替えはリスク。やむを得ず中継ヤードを使う時は、ヤード内を“準現場”基準にする(舗装/養生置き場/照明/監視)。“汚れたヤードは汚れた製品を生む”――現場格言です。


8️⃣ 安全文化の“見える化”――指差し称呼×点検アプリ

  • 指差し称呼:「荷締め良し、角当て良し、台木良し、合図者良し」

  • 点検アプリ:写真+チェック項目でOK/NGを登録。日報と連携して可視化ダッシュボードに。

  • ランキングではなく、トレンドを見る:人を競わせるより、エラーの季節性天候相関を分析。

“叱る”より“気づく”。安全は学習の仕組みで伸びます。


9️⃣ グリーン搬送の実務――無理なく積み上がる施策 ♻️

  • タイヤ空気圧適正化で燃費1〜3%改善。

  • 走行速度の平準化で更に2〜5%改善。

  • 待機アイドリング5分ルールでCO₂とコストを同時削減。

  • リターナブル養生材(角当て・ゴムマット)の回収ボックスを現場設置。返送率を指標化。

小さな積み重ねが、入札の総合評価地域の信頼に跳ね返ります。


人材戦略:採用は“物語”で決まる、定着は“仕組み”で決まる

  • 採用広報:運んだ製品がどこの道路・学校・病院に使われたかを地図で見せる。“社会を動かす実感”は強い動機。

  • 評価制度:無事故・クレームゼロ・改善提案を見える報奨に。

  • キャリアパス:ドライバー→リーダー→配車→営業の多段ロールを整備。

  • 健康と家族:定期健診・インフル予防・家族向け見学会。“理解者”が増えると辞めにくい。

人が定着すると、顧客の“段取り”も定着します。関係は資本。


1️⃣1️⃣ ケーススタディ:ボックスカルバート 20基の夜間搬入

  • 条件:市街地交差点直近、夜間0:00〜5:00、作業半径18mのラフター。

  • 手順

    1. 前日17:00オンラインBM(前日打合せ)で道路使用許可警備配置養生範囲を最終確認。

    2. 先行便は設置順に積載し、到着即吊り。

    3. タグライン2本で振れ止め、旋回禁止角を合図者が死守。

    4. 3便目で増し休憩、眠気対策に交代要員を配置。

    5. 終了30分前に道路原状復旧チェックリストで撤収漏れゼロ。

結果:待機ゼロ・クレームゼロ・残業短縮30%。勝因は設置順積載前日BM


1️⃣2️⃣ まとめ:DXは“段取りを強くするための道具”

アプリやセンサーは目的ではありません。
段取りの質情報の鮮度×共有の速さ×意思決定の一貫性
コンクリート二次製品運搬業の価値は、現場に遅れず・壊さず・待たせずを“当たり前”にすること。
小さな可視化と前日BMから、未来の当たり前をつくっていきましょう。

 

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ドイ産業のよもやま話~part21~

皆さんこんにちは!

 

さて今回は

~コンクリート二次製品運搬業の“現場力”~

 

コンクリート二次製品――U字溝、L型擁壁、ボックスカルバート、ヒューム管、側溝蓋、縁石、擁壁ブロック、プレキャスト床版など。街中のあらゆるインフラに使われ、工期短縮・品質安定・省力化に大きく寄与している製品群です。
しかし、これらが“工場から現場へ”安全に届くまでの道のりには、想像以上に多くの高度な段取りと技術が潜んでいます。重量物でありながら、角欠け・クラック・スリ傷を嫌う繊細な荷。しかも現場工程は分単位で変化し、交通規制・仮設ヤード・クレーン手配・施工班の動きとピタリと噛み合わねばなりません。
本稿では、コンクリート二次製品運搬業の“現場力”を、計画・積載・輸送・荷降ろし・安全・品質・環境の視点から立体的に描きます。️


1️⃣ 仕事の起点は“工程表”と“搬入計画”から ️

二次製品の運搬は、依頼を受けた瞬間から勝負が始まります。

  • 品目・寸法・重量(例:ボックスカルバート 2.0×2.0×2.0m、3.8t/基)

  • 数量・ロット分け(1日何基、どの順番で設置か)

  • 現場条件(進入経路、車両制限、敷き鉄板の有無、クレーン容量、玉掛け器具)

  • 時間帯制約(近隣学校の登下校、渋滞ピーク、騒音規制、夜間規制)

これらを読み解き、車種選定(セルフローダー/トレーラ/単車増トン)と便割りを組むのが運搬会社の腕の見せ所。工場の積込能力と現場の荷受けスピードの“差”を、待機場の確保や中継ヤードで吸収する計画力が、のちの混乱を防ぎます。


2️⃣ 積載の基本は「安定・固定・保護」――“三位一体”の美学

安定
重心が高いL型擁壁や幅の狭いU字溝は、走行中の横力で倒れ込みやすい。積載面の摩擦係数、あおり・背板の強度、ラッシングポイントの位置を把握し、木製台木(硬木)やラバーマットで面圧を分散します。

固定
ベルトやワイヤは**締付力(プリテンション)**が命。EN12195-1の理屈に沿って、対向締め(ダイレクトラッシング)と上締め(フリクションラッシング)を使い分けます。角当て(コーナープロテクタ)でベルトの切断を防止し、荷崩れ方向の自由度をゼロに。チェーンバインダを用いる重量物は、等級表示と張力管理を徹底します。

保護
コンクリートは硬いが、角は脆い。カドのチッピングはクレームの元。積込・荷降ろしではゴムシート・フェルト・発泡材で接触面を養生。フォーク差し時も爪カバーや角度付き治具で点荷重を減らす。️


3️⃣ 車両・艤装・道具――“現場向け”は細部で決まる

  • トレーラ:超重量・長尺のカルバートや長尺側溝に有効。エアサスで振動を低減し、低床タイプで高さ制限をクリア。

  • セルフローダー:荷台ウインチ・あゆみ板で自力荷役も可能。狭隘地での小回りが効く。

  • 単車(増トン):都市部・橋梁下搬入・高さ制限対応に強い。

艤装ではスタンション(支柱)の位置調整、追加ラッシングポイントの設置、作業灯・後退灯の増設、無線機とドラレコの連動など、“夜間・雨天・狭小”の当たり前に耐える仕様が肝。️


4️⃣ 現場進入は“秒単位のオペ”――誘導・合図・合意

現場に着いた瞬間、誘導員との握手でリズムが決まります。

  • ハンドサインの事前共有(吊上げ・停止・緊急停止)

  • クレーン玉掛けの役割分担(だれが合図者か、見通しは確保できるか)

  • クレーン定格の確認(作業半径・フック高さ・地耐力)

吊り治具は2点・4点を使い分け、重心マーク吊り穴位置を現場と共有。荷を振らせないタグラインを用意し、風速計で作業中断基準(例:10m/s以上)を明示。
一回の安全は“準備の質”で決まる。️


5️⃣ 品質は“運んだ後”で評価される――外観・寸法・証跡

二次製品は外観品質が命。荷卸後すぐにチッピング・クラック・スリ傷の有無を写真+チェックリストで相互確認。出荷時の受入検査票(メーカー)と、運搬側の積込写真・ラッシング写真、現場の荷卸写真を一連で紐付け、万一の責任分界を明確にします。
温度ひび割れが疑われる場合は音診・マーカーで進展を追跡。運搬起因の破損をゼロに近づける“データ文化”が信頼を育てます。️


6️⃣ 安全の“型”を持つ――KYT・TBM・ヒヤリハット

  • KYT(危険予知訓練):その日の荷姿・天候・路面で“想像力”を合わせる。

  • TBM(ツールボックスミーティング):玉掛け・合図者の指名、退避場所、荷の回転方向を15分で詰める。

  • ヒヤリハット収集:角当ての滑落、ベルト緩み、クレーン旋回死角、誘導員の交代タイミングなど、起こる前提で事例を蓄積。

「無事故」は運ではない。習慣と記録の成果です。


7️⃣ 渋滞も“工程のうち”――ルート最適化と発着同調 ️

  • 時間帯回避:通勤ピークやスクールゾーンの迂回を事前に設計。

  • 高度計画:高さ制限(3.8m等)、重量制限(総重量・軸重)をGISでチェック。

  • 動的リスケ:現場の遅延を無線・チャットで即時共有し、次便の積込時刻をスライド

“待ちゼロ”は善だが、無理は禁物。休憩・健康・労働時間管理(改善基準告示)を守り、安全最優先を貫くことが、結局“工期短縮”に直結します。


8️⃣ 環境配慮は“静かな競争力”――燃費・騒音・資材 ♻️

  • アイドリングストップ定速走行で燃費改善。

  • 低騒音養生(ゴムマット・緩衝材)で近隣配慮。

  • 再生養生材の活用と角当てのリユース

  • 車両更新時はポスト新長期規制適合車/ハイブリッド・EV補助軸の検討。

環境配慮は“コスト増”ではなく、入札評価・地域信頼・人材採用の強力な武器です。


9️⃣ 人材こそ最大の資産――“強いドライバー”を育てる ‍♀️

  • 重量物講習/玉掛け/小型移動式クレーンの取得支援。

  • 同乗教育で積載バランス・ラッシングの“感覚”を継承。

  • 可視化マニュアル(写真・動画)とチェックシートで標準化。

  • 評価は安全と品質重視――“速さ”だけを称えない文化。

誇りを持てる現場は、辞めにくい。それが安定品質をつくります。


まとめ:重くて繊細な荷を、誠実に運ぶ。

コンクリート二次製品運搬業は、単なる“運送”ではありません。
計画で勝負を決め、積載で品質を守り、輸送で安全をつなぎ、荷卸で工程に貢献する。
一便一便の誠実さが、インフラの完成度を底上げします。
“見えないところ”で街を支える、この仕事に胸を張っていきましょう。️

 

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