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ドイ産業のよもやま話~part20~

皆さんこんにちは!

 

さて今回は

~ニーズの変動~

 

点ではなく“面”で価値をつくる物流

U字溝、L形擁壁、ボックスカルバート、ヒューム管…。工場で仕上がったコンクリート二次製品は、現場で“その日に、割れずに、待たせずに”置けるかで価値が決まります。ところが現場は狭く、工程はタイト、法規と安全基準は年々厳格に。運搬事業者に求められるニーズは、単なる“輸送”を超えて計画・証跡・安全・環境・人材まで広がっています。
本稿では、発注側(元請・製造)と運ぶ側の両視点で、いま現場が要請するニーズを整理し、すぐ実装できる型まで落とし込みます。


1|工程起点のニーズ:JITと“半日単位”の納入

  • 時間指定・時限予約(Time Window):クレーン待ちや交通規制に合わせ、30〜60分幅での到着が前提に。

  • 細切れ納入(半日ロット):仮置きゼロの都市現場では、午前に○ピース、午後に○ピースの分割が標準。

  • 直据付前提:ユニック車・ラフター連携で**「降ろして即架設」を求められる場面が増加。
    → ニーズは「早く」ではなく
    「待たせない」。運行だけでなくヤード・合図・吊りの段取り**までがサービス範囲です。


2|品質保全のニーズ:欠け・微細ひび“ゼロ”

  • 出荷判定の数値化:設計強度到達・含水率・表面硬度で早出しを抑止

  • 積載・緩衝設計:間座の材質・厚み・間隔、ベルトのWLL表記、角保護、滑り止めマットの標準化。

  • 積層方向の統一:局部応力を避ける積み方SOP
    → 破損ゼロは荷台に乗せた瞬間から始まる品質。写真付きの「積込・荷締め手順書」が必須です。


3|法規・ルートのニーズ:設計段階からの介入

  • 特殊車両通行許可・軸重管理:高さ制限・重量制限橋を回避する事前ルート設計

  • 分割寸法の提案:通れない/吊れないを防ぐため、製品側に分割・吊点・重心の再設計を提案できる力。
    → ニーズは「運べるか?」ではなく**「設計から運べる形にする」。BIM/CIMでの早期合流**が武器です。


4|安全のニーズ:共同責任としての現場運用

  • 荷下ろし地盤の事前確認:敷鉄板・ベニヤの有無、クレーン設置位置、接触物の排除。

  • 合図者・ゾーニング:立入禁止帯、吊荷下立入禁止、合図の統一言語

  • 気象限界の明文化:長尺物は風に弱い。瞬間風速○m/sで中断などの基準決め。
    → 安全は“誰のせい”ではなく三者(元請・製造・運搬)の共同責任安全SLA(最低限の受入条件票)を交わすのが近道です。


5|デジタル・証跡のニーズ:見える化と即時共有

  • スロット予約・ETA共有:テレマティクスで到着予測を現場のクレーン待ちに同期

  • 電子伝票(ePOD):ロット番号・数量・外観を写真で即共有。クレームの因果切り分けが早くなる。

  • BIM/CIM連携:3Dモデルに重量・外形・吊点・重心を属性として付与、吊りしろ・旋回半径を事前検証。
    → ニーズは「連絡しました」ではなく**「データで同期」**。電話は最後の手段に。


6|コスト・環境のニーズ:効率とCO₂の両立

  • 積載効率の最大化:パレット化・ネスティングで空気を運ばない

  • 往復の設計:復路でパレット・金具・型枠を回収する循環便

  • モーダルミックス:長距離はフェリー・鉄道の併用でCO₂と拘束時間を低減
    → 指名の条件は**「コスト+CO₂+拘束短縮」**の三点提示。数字で語る時代です。


7|サービス・契約のニーズ:SLAで“止めない”を約束

  • 時間窓遵守率(On-Time In Full)と損傷率をKPI化。

  • 待機課金の定義:荷待ち・クレーン待ちの計測を自動化し、改善インセンティブを共有。

  • 代替手配SLA:故障時の代替車・代替クレーンの到着時間を明文化
    → 「安さ」より**「止めない約束」**が評価される。契約は現場の安心の設計図です。


8|人材・教育のニーズ:多能工化と立上げ速度

  • 動画SOP(15〜30分):積込・荷締め・荷下ろし・合図・非常時対応。

  • 指差し呼称・共通用語:他社混在現場でも通じる合図の標準化

  • 資格+現場評価:玉掛け・移動式クレーンに加え、実地評価シートで力量管理。
    → ニーズは「免許」だけではなく**“再現できる安全”。教育はコストではなく事故の保険**です。


9|発注者別ニーズ早見表

元請・現場監督

  • 到着の確実性、クレーン待ちゼロ、夜間騒音対策、周辺交通配慮、事故ゼロの証跡

製造(プレキャスト工場)

  • ロット管理・破損ゼロ、出荷判定の共有、梱包仕様の標準化、回収物流(パレット・金具)

自治体・発注者

  • 低炭素報告(t-CO₂/便、削減率)、交通影響最小化、地域安全・苦情対応


10|そのまま使えるテンプレ

A. 受入条件シート(現場→運搬)

  • 到着ウィンドウ/合図者氏名・連絡先

  • 荷下ろし地盤・敷材の有無/クレーン設置位置・能力

  • 進入ルートの高さ・幅・最小旋回半径/近接電線・標識の有無

  • 夜間規制・騒音基準/風速中断規準

B. ePOD(電子受領)最低項目

  • 製品ID(型式・寸法・ロット)/数量

  • 積載写真(積込・到着・降ろし後)

  • 外観チェック(欠け・擦れ)/受領サイン(GPS・時刻)

C. 安全SLA(例)

  • 立入禁止帯・合図統一・吊荷下進入禁止の明文化

  • 風速○m/s超中断/雨量○mm/h超中断

  • インシデント発生時の一次連絡→報告→再開判定フロー


11|90日で実装する“ニーズ対応”ロードマップ

0–30日

  • 積込・荷締め・荷下ろしの写真付きSOPをA4×3枚で整備。

  • 主要顧客3社と受入条件シートを取り交わし、テンプレ統一。

30–60日

  • テレマティクスでETA共有を開始、スロット予約を運用。

  • ePOD導入(ロット・写真・サイン)→クレーム削減のKPI設定。

60–90日

  • BIM/CIM属性テンプレ(重量・外形・吊点・重心)を公開、設計段階から合流。

  • 待機課金・代替手配SLAを契約に組み込み、「止めない約束」を商品化。


まとめ:運ぶのではなく、“据え付けまでの体験”を設計する

コンクリート二次製品の運搬ニーズは、時間・品質・安全・証跡・環境・教育の六角形で構成されています。

  • 工程に時間で合流し、

  • 破損ゼロを荷台でつくり

  • 安全を共同で運用し、

  • 事実をデータで残し

  • CO₂とコストを同時に下げ

  • 人を早く立ち上げる

この六角形を揃えられる運搬事業者は、価格競争から価値競争へシフトできます。
次の現場で、まずは受入条件シートとePODから始めてみてください。“待たせない・壊さない・止めない”が、あなたの新しい標準になります。

 

 

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