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ドイ産業のよもやま話~part10~

皆さんこんにちは!

 

さて今回は

~設計~

ということで、コンクリート土木工事における設計の目的、設計フロー、検討事項、実務上の課題を含めて、深く・広く・実用的に掘り下げて解説します。

 

構造物の命をつくる「設計図面の裏側」に迫る

道路や橋、河川護岸、擁壁、ボックスカルバートなど、
私たちの生活を支えるインフラには必ずコンクリート土木構造物が存在します。

そして、それらを機能的・安全に構築するための最も重要な段階が「設計」です。


なぜ“設計”が重要なのか?

◯ 設計とは「構造物の寿命と機能を決める行為」

コンクリート構造物は一度施工されれば数十年にわたって風雨や荷重に耐える必要があります。

設計によって決まるもの

  • 対応荷重(車両、土圧、水圧など)

  • 寿命(設計耐用年数)

  • 維持管理性(点検や補修のしやすさ)

  • 施工性(作業の安全性と効率)

  • コストと工期

設計次第で「使いやすく、壊れにくく、維持しやすい構造物」になるかどうかが決まるのです。


コンクリート土木構造物の設計フロー

  1. 基本設計(概略設計)  → 用途・敷地・地盤・交通条件などから概略仕様を決定

  2. 詳細設計  → 荷重・構造形式・鉄筋量・断面寸法を計算

  3. 図面作成(構造図・配筋図)  → 施工業者に渡すための情報を詳細に記載

  4. 設計照査・VE提案  → 安全性・施工性・コストのバランス確認


構造形式と設計方針の選定

◯ 主なコンクリート構造物とその特徴

種類 設計のポイント
擁壁(L型・逆T型) 土圧計算、転倒・滑動・支持力安全率の確保
ボックスカルバート 車両荷重、水理計算、浮き上がり防止
橋台・橋脚 活荷重、地震力、沈下・傾斜への耐性
護岸・床版 波圧・流速、氾濫対策、洗掘対策
土間・舗装 養生、ひび割れ抑制、耐摩耗性

各構造物は、現地地盤条件・使用目的・上部荷重に応じて構造形式を選定する必要があります。


構造計算と配筋設計の重要ポイント

◯ 基本的な構造計算要素

  • 自重・土圧・水圧・衝撃荷重・地震荷重などを考慮

  • 使用基準:土木構造物設計便覧(日本道路協会)
     - 道路橋示方書・同解説
     - 建設省土木研究所基準など

◯ 鉄筋設計の留意点

  • 主筋・せん断補強筋・かぶり厚さの確保

  • ひび割れ幅制御(0.2~0.3mm以下を目安)

  • ジョイント部や打継ぎ部の一体性・水密性の確保


耐久性設計と長寿命化の工夫

◯ 劣化因子への対応

劣化要因 対策例
中性化 十分なかぶり厚、緻密なコンクリート
塩害(塩化物イオン) 水セメント比の低減、混和材(フライアッシュ、シリカフューム)使用
凍害 AE剤使用、空気量の適正管理
アル骨反応 低アルカリセメントの使用、骨材選定

設計段階で耐久性に配慮しないと、10〜20年で補修費用がかさむリスクが生じます。


施工性と維持管理性を考慮した設計

◯ 現場での施工のしやすさ

  • 型枠の組立性、脱型性、鉄筋組立の容易さ

  • 重機の進入経路、施工スペースの確保

  • 重力式構造 vs 杭基礎など、施工環境に応じた形式選定

◯ 維持管理・点検を意識した設計

  • 点検口・開口部の配置

  • 排水計画や沈砂池の設計

  • 長期的な維持費用と修繕時期の見通し


環境と共存するコンクリート設計

  • 遮音・景観配慮(色・表面処理・形状デザイン)

  • 自然再生・緑化ブロックの導入

  • CO₂排出量の少ないコンクリート(エコセメント、低炭素型)の活用

現代の土木設計では「持続可能性(SDGs)」の視点が不可欠になっています。


✅ コンクリート土木工事における設計は「見えない未来の品質」を作る仕事

コンクリート土木構造物は、人々の暮らしを“数十年単位で”支えるインフラです。
そしてその命は、図面上で設計されたときにすでに始まっています。

設計者は単に構造計算を行う技術者ではなく、
安全・コスト・施工・維持・環境すべてを見渡す総合的な判断力が求められます。


設計で押さえるべき7つの柱

項目 内容
用途 使用目的・荷重条件の整理
構造形式 地盤や工法に応じた最適形の選定
荷重計算 静的・動的・偶発荷重まで網羅
配筋設計 ひび割れ・かぶり・施工性に配慮
耐久設計 中性化・塩害・凍害・アル骨対策
施工性 重機動線、型枠・鉄筋作業性
維持管理 点検性、修繕しやすさ、長寿命化策

 

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